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PCを静かにしてみる

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試運転さんからPCの静穏化のレポートを投稿いただきましたので紹介します。

試運転さん ありがとうございました。

試運転さんのコメント
夜中にPCを触っているアナタ、アレに悩んでいませんか?

アレとは...ファンの爆音、HDDの振動などです。おかげで、落ち着いてゲームや開発が出来ないなんて状況じゃありませんか?

この記事では、騒音を解決するためのヒントを書いてみようと思います。
 

熱の伝わり方
ではまず、熱に関する事から整理していきましょう。
みなさんがよくご存知なのは、熱伝導率くらいだと思います。実際、雑誌などでもその事が中心です。
しかし熱伝導率は、熱伝達というものの一項目にしか過ぎません。

熱の伝わり方は、伝導、対流、放射の3つがあり、これをまとめて熱伝達というのですが、
その中で伝導は、一つの物質内での熱の伝わりやすさを示す熱伝導率、
固体と流体の熱の伝わりやすさである熱伝達率などの事を示します。
熱対流は、空気などの流体内で熱が移動する事を示し、
熱放射は、熱が電磁波となって移動する事を示します。
 

ヒートシンク
では、これらの事がヒートシンクを選定する上において、どのように影響するのでしょうか?

高性能ヒートシンクの材料として思い浮かべるのは、おそらく銅ですね?
確かに熱伝導率だけを考えれば、それは正解でしょう。しかし、熱伝達率も考えるとそうはいきません。
銅は空気に触れると酸化します。詳しい資料は発見できませんでしたが、酸化すると熱伝達率はかなり下がるようです。
また、それを防止する為にめっきを施すと一般的にはそのめっきの材料の熱伝導率が良くない、という問題があります。

しかし、熱伝導率は良いのですから、活用したいところですね。
空気に触れず、熱を伝えなくてはいけない所...そう、ヒートスプレッダという役割が一番適しているのです。

では、ヒートシンクの材料は何が良いのでしょう?意外にも、アルミが一番お手軽だったりします。
アルミであれば、加工が楽な上に、アルマイト処理により熱伝達率向上が望めます。
黒色アルマイト処理なら、熱放射の性能向上も期待できます。

色が関係あるのかよ!?と思われるでしょうが、これが関係あるんです。
色彩検定を受けた事のある方なら分かると思うんですが、完全に黒い物を黒体といって、性質上、光や電磁波を完全に吸収、放出できるんです。
実際にはそんな物体は存在しませんが、黒っぽくする事により熱放射しやすくなるんです。
身近な例で例えると、黒い服って暖かくなりやすいですよね?
それを逆にしてるんだ!と思うと分かりやすいと思います。

では、白くしたらどうなのか?
おそらく、放熱性能は少し下がるでしょう。しかし、外部からの熱放射を避けるには、白く塗るのがもっとも有効でしょう。
現に、屋外に設置される電気機器は白く塗られています。

材料が決まったら今度は形状ですが、形状により冷却性能が違う事は有名ですね。
設計により異なるようですが、一般的にはピン型でピンが丸い物、が良いとされています。
どうやら、比較的均等に熱が行き渡るからというのが理由のようです。

ピン同士の間隔はというと...もし自然換気に頼るのであれば、間隔は広くとらねばなりません。なぜか?
それは、ピン表面が空気境界層というもので覆われていて、層内での対流により熱を伝えているのですが、
自然任せだと限度があるからです。機械換気の時は、ピン間隔はせまくても大丈夫です。
 

風道
ヒートシンクが決まったら今度は風道です。これにもいくつかポイントがあります。
換気口には角がない方が良い事は皆さんご存知なんですが、無闇に穴を開けたり、風道が狭すぎても広すぎてもダメ、
というのはあまり知られていません。

どういう事なのか?両方とも風速に関係してきます。物体を冷やす際、風速が遅いと冷やす事が出来ません。
風量が増えても冷える事はありますが、それは温度差の大きい事により冷えているものと思われます。

なぜ、風速が遅いと冷やせないか?
ヒートシンクの項で挙げた空気境界層が関係しています。この空気境界層に厚みがあると、冷却するのにはとても不都合です。
で、その厚みを薄くするには風速が早ければ早いほど薄く出来て都合が良いのです。

風量と風速の関係を簡単に説明するなら、次のようになります。
まず、ストローを思い浮かべてください。ストローを使って飲み物を飲んでいるとします。
もし飲むスピードを上げたかったら、どうしますか?

1. もっと勢いよく吸い込んでみる。
2. ストローを太くしてみる。

この例をそのまま、水から空気に置き換えてみてください。
1の場合は、風速があがる
2の場合は、風量が増える
という事になります。

これら以外にも、熱貫流や熱反射なども考慮すべきなのでしょうが、そこまでやったところで、影響はほとんどないと思われます。
 

ドライブの騒音
CDDにしろHDDにしろ、モーターがある以上どうしても騒音は発生します。
最近の物は、モーターの制御がPWM方式なのでより騒音・振動が発生しやすい状況にあるようです。参考

HDDの回転数は近年上昇傾向にありますが、回転数が上昇しても軸がブレなければ軸ブレによる振動は起きないと思います。
逆に言えば、回転数が低くても軸がブレれば大きく振動するはずです。
(携帯のバイブレータで考えれば分かると思います。)

ただし回転数が高くなると、ねじれに気を付けなくてはいけません。
 

モーメント
モーメントとは回転する力の事を言います。これを抑えない事には振動は収まらないと考えたほうが良いでしょう。

モーメントがあればそれに対する反力が必要ですが、必要な反力が大きいとねじれも大きくなります。(後述)
ですからモーメントは減らさねばなりませんが、簡単な方法は...航空機の2重反転プロペラのように、
お互い反対に回転するものを設置すればいいのです。もっとも、剛心などに注意して設置しないといけません。
 

重心と剛心
重心とは重さの中心、剛心とは物体にモーメントが加わった時の回転の中心を指します。
この2つの距離が離れていると、ねじれが発生し、振動の原因になります。
ですからねじれが発生しないよう、位置をあわせてやる必要があります。

いろいろ方法はあると思いますが、死重を用いて重心を剛心に近づける、というのが簡単に出来る方法だと思います。
本当は、計算によって位置を正確に出さなくてはいけないんですが...私は工学部の出身ではないので他人にうまく説明できません。
ですので、ご自分で調べてみてください。

ただ、死重を載せただけでは振動問題を解決する事は出来ないでしょう。
本来は力の伝わり方を含めて考えないといけないからです。
それをやるには...断面2次モーメントとか断面係数とかを理解しないと出来ませんので、専門書を買って勉強してください。
 

遮音と吸音
上記の対策とあわせ、遮音や吸音を考える人は多いと思います。しかし、どちらか片方しかやらない人をちらほら見かけます。
実は、いくら吸音性能が高くても遮音していなければほとんど意味がないんです。

一般に、吸音材というのは吸音率が高いものが選ばれます。しかし多くの場合、透過損失が小さいです。
透過損失とは、透過音が入射音よりどのくらい小さいかを示す値で、大きければ大きいほど遮音性能は上がります。

透過損失が大きい材料は重いものが多いです。ですから、まずは遮音したい物の外側を重い物で遮音し、
その内側を吸音率の大きい材料で吸音させる様にすると、もっとも大きな効果を得られるでしょう。
 

ファン
いまどきのPCでは自然換気のみで冷却するのはかなりの困難が予想されます。
寿命の観点からもあまりよろしくありませんからちゃんとファンをつけた方が良いでしょう

ますは私にも分かる、dBの事についてだけ、少しお話しようと思います。
たまに雑誌などでは、dBを計っても個人差があるのであまり参考にならない、という意味の事が書いてあったりします。
確かにある意味では正解なのですが、少し短絡的でもあります。

ファンの騒音レベル表示はどこのメーカでもしてあるのですが、表記にdBとdB(A)の2種類が混在しているようです。
実はAにはちゃんと意味があり、A特性の事を表しています。
このA特性だと、測定結果が人間の聴覚に近くなるように補正されます。したがって、A特性で表示されている方が正直だといえます。

蛇足ですが、dB(A)の数値が同じでも、周波数により聞こえやすさは変化します。
例えば、2,000Hzの18dBと3,000Hzの18dBは、同じ18dBでも、聞こえやすさが違います。
あと、3dB下がると理論上、聞こえやすさは半分になります。

で、羽根の形なのですが...さすがに航空力学や流体力学の分野は全く分かりませんので他人に説明できません。
ですので、ご自分で調べてみてください。
 

編集後記
元々この記事は、Dreamcastを静かにする為の研究をしていた時のメモです。
ですから、一部変な記述があると思いますがお許しください。

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