後期エプソン機のSMD-340をFD1231Tで代替

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 総額7600円 さんに投稿いただきました 後期エプソン機のSMD-340をFD1231Tで代替の報告です。
 
 本来は総額7600円 さんHPを作ってそこで発表されるのがベストなのですが、まだHPを作る予定が無いとの事ですので、それまでの間、仮の置き場所として、場所だけ提供させていただきます。
 総額7600円 さんがHPを作られたあかつきには、ここはリンクのみになります。
 
ここで紹介する工作は,総額7600円が実際に行って動作を確認してありますが,FDDの信号をきっちりと解析した上でのものではありません.筆者の環境ではこの工作による実用上の不具合は観察されてはいませんが,FDDおよびマザーボードの正常な動作は保証いたしません.本資料のご利用は自己責任でお願いします.
本記事中でのコネクタのピン番号の割り当ては,研究発表会の「コネクタの種類とピン番号」に示す通りとします.

PC-486SE/SR以降のエプソン98互換デスクトップ機では,内蔵3.5インチFDDとして,EPSON製SMD-300(SMD-340-301-00,SMD-340-302)あるいはMITSUMI製D353T3が使用されています.これらのFDDは,ドライブの厚み,FDDケーブルのタイプ(フラットケーブルとフィルムケーブル)やイジェクトボタンの位置が相互に異なりますが,電気的には同一と推測されており,実際に混在使用している例もあります.
これらのFDDは製造からかなりの期間が経過しており,またこれらのFDDを内蔵した機種を中古市場で目にすることも稀となりました.またこれらの機種は本体に1MB FLOPPY DISKコネクタを備えており(PC-486FE/FR/FS/MEを除く:前三者にはサードパーティーから1MB FDD I/Fが発売されていたようです),外付けFDDを接続できますが,この外付けFDDもまた入手が容易ではなくなっています.従って,FDDの故障はこれらの機種を使い続ける上で致命傷となりえます.

ここでは,上記のFDDをNECのPC-98で使用されていたFD1231Tおよびその互換FDDで代替する方法について述べます.

テストに使用した本体はPC-586RX1LWであり,元々内蔵されていたFDDを単体入手のSMD-340-302(以下SMD-340と表記)に,フロントマスクをPC-586RV2のものにそれぞれ取り替えてあります.

■はじめに
SMD-340には一般的な34ピンコネクタの3.5インチFDDと同様な4ピンの電源コネクタがありません.FDDケーブル接続用のコネクタに電源ピンも含まれています.
テスタで調べたところ,7,9,11ピンと増設機器用の電源ケーブルのコネクタの+5Vピンとの間に導通がありました.通常GNDが割り当てられているピンの一部が電源ピンとして使用されているのです.このため,FDDケーブルを逆刺しするとドライブならびにFDDケーブルを焼損します.SMD-340では,PC-98用のFD1231Tなどとは異なり,FDDケーブルのコネクタを突起部が下側になるように接続します.後述の工作を行って,SMD-340とFD1231Tとを混在使用する場合にはこの点に特にご注意下さい.

SMD-340にはPC/AT互換機用のものもあります:
http://support.dell.com/support/edocs/dta/1fdd/
やはり7,9,11ピンが電源ピンとなっていますが,EPSON98互換機用のSMD-340にはジャンパピンが8本しかなく,電源コネクタもありません.

なお27ピンはGNDと導通がありません.わぴこのほーむぺーじ http://wapiko.ddo.jp/wapi/ --> [日記兼掲示板] --> PC-486なFDDのキケン究所 の資料によれば,27ピンの信号は,メディアへのアクセスに同期する何らかの信号とのことですが,詳細は不明です.筆者の環境では,これまでのところ,FD1231Tの接続時には27ピンをNCとしても不具合は観察されていません.

DS設定用のジャンパスイッチはありません.またFDDケーブルは,マザーボード接続用のコネクタと1台目のFDDコネクタとの間はストレート結線であり,1台目のFDDコネクタと2台目のFDDコネクタの間で,1・3番ラインおよび10・12番ラインがクロスしています(1番はNC,3番は360/300,10番はDS0,12番はDS1と推定されます).

■FD1231Tの接続
ここではPC-98用のFD1231T,FD1148T(34ピンコネクタ),MPF520-F,OSD,OSD-uをFD1231Tと総称します.
FDDケーブルは586RXで元々使用されていたものを加工しました.内蔵FDDが1台のモデルでも,FDDケーブルはFDDを2台内蔵したモデルと同じものが使われています.ここでは1台目のFDDとしてSMD-340をそのまま接続し,2台目のFDDとしてFD1231Tを接続する場合の方法について述べます.
FDDケーブルは,1台目のFDDコネクタと2台目のFDDコネクタとの間の部分を加工します.

(1) 上記わぴこ氏の解析によれば,2HD/2DDモードでのDensity信号の極性がPC-486MUとPC-9821V166とでは逆になっています.Density信号ライン(FDDケーブルの2番ライン)を結線しない場合,1.44MB・1.25MBの2モード動作となります.2DDメディアの読み書きのためにはこのDensity信号を供給する必要があります.
  2番ラインを切断し,1台目のFDD側のラインをインバータICの入力ピンに,2台目のFDD側のラインを出力ピンに接続します.私はたまたま手元にあった74HC04Dを使用しましたが,74LS14などの方がよいかもしれません.
(2) 7・9・11番ライン(+5V)を切断し,1台目のFDDコネクタ側のラインをインバータICの電源ピンと2台目のFDD用の電源ケーブルのコネクタに接続します.
(3) 27番ラインの信号は不明ですが,これがFD1231Tに接続されていると正常動作しません.よって2台目のFDDではこのラインを切断します.

完成図です.今回はインバータにC-MOS ICを使用したので,ICの使用しないピンをプルダウンしてあり,またFDDケーブルのGNDラインを2台目のFDD用の電源コネクタのGNDピンに接続しています.なお緑のラインは5インチFDD内蔵時にDensity信号を供給するためのものです.



FD1231Tを1台目のFDDとして使用する場合には,(1)−(3)の作業を1台目のFDDコネクタとマザーボードとの接続用コネクタとの間の部分に対して行います.この場合,2台目用FDDコネクタにもFD1231Tを接続するためには,+5Vラインを2台目のFDDにも接続する必要があります.

■本体フロントマスクの加工



上の図のように,SMD-340とFD1231T(この図ではOSD-u)とではイジェクトボタンの水平位置が異なります.従って,FDDが2台のモデルでFD1231Tを内蔵させるためには,フロントマスクのFDDのイジェクトボタン用の開口部を加工する必要があります.



FDDが1台のモデルでは,イジェクトボタンの位置が元々のFDDのものと合うため,フロントマスクの加工は不要です.ただし,フロントマスクのFD挿入口付近の凹みが深いので,FD1231TとOSD-uではFDD取り付け金具のFDD固定用ネジ穴を削り,電源ユニット側に少しずらしてに取り付けられるようにする必要があります.ただしMPF520-Fの場合はFDD取り付け金具の加工も不要でした.FDDが2台のモデルではFD挿入口付近の凹みが浅いため,FDD取り付け金具の加工は不要です.

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不具合といえるのかどうかはわかりませんが,筆者の環境では以下の現象が認められました:
2DDメディアを書き込み禁止にしていると,NEC版MS-DOS6.2でのscandiskでのクラスタスキャン開始直後にOSD-uのアクセスランプが点滅して停止します.しかしその約1分50秒後にクラスタスキャンが開始されます。SMD-340と外付け扱いのFD1155Dではアクセスランプが消えて同様に停止し,約1〜2分後にクラスタスキャンが開始されます.
しかしわぴこ氏のテスト環境(PC-486MU+MPF520-F+EPSON版MS-DOS6.2)では,ライトプロテクトを施した640KBフォーマットのFDに対するscandiskにおいて,上記の現象は観察されなかった(720KB,2HDメディアでは未試験)ということでした.

 

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