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総額7600円 さんに投稿いただきましたFD1155Dのメンテナンスの報告です。 |
本来は総額7600円 さんHPを作ってそこで発表されるのがベストなのですが、まだHPを作る予定が無いとの事ですので、それまでの間、仮の置き場所として、場所だけ提供させていただきます。 総額7600円 さんがHPを作られたあかつきには、ここはリンクのみになります。 |
FD1155Dは製造から20年ほどが経過しており,不調となっているものが少なくありません.不具合の原因は多々あると思われますが,ここでは簡単に対処できるものについて述べます. 記事をまとめるにあたって情報をいただきましたタクさんとtshさんに感謝いたします.記事の参照は自己責任でお願いします. ■ヘッドカバーの脱落 これは金属製のカバーをヘッドに取り付けているスポンジの経年劣化によるもので,ほぼ必発の不具合です.メディアが途中までしか挿入できなくなって気付かれることが多いようです.FDDのカバーを開けて脱落したヘッドカバーを取り出せば済みますが,劣化してベトベトになった黒いスポンジがヘッドを汚している場合にはヘッドを清掃します(方法は下記を参照). ヘッドカバーを付け直す必要は全くありません.筆者はむしろ,ヘッドカバーが脱落していない個体であっても敢えてこれを撤去しておくべきとさえ考えます.なお同種の不具合は他の5インチFDDでも発生することがあります. ■ヘッドの清掃 市販されていたクリーニングディスクによらず,綿棒等を使用して行うヘッドの清掃方法です. FDDの上側のカバーを外しただけではヘッドの清掃がしづらく,無理に作業を行うとヘッド付近を破壊あるいは変形させてしまう危険があるため,さらに下図の3箇所のネジを外してフライホイール(回転円盤)基板を取り外します. 綿棒に少量の無水エタノール(エタノール(99.5%))をしみ込ませ,ヘッドを軽く拭きます.エタノールはヘッドの接着剤を多少なりとも侵しますので注意して下さい. また,この作業のついでにFDD内部(メディアが納まる部分)の清掃も行っておくとよいでしょう. ■モーター回転時の異音 モーターが回転している時にFDDが発する異音にも何種類かありますが,ここでご紹介するのは,メディアの読み書きには問題がないものの,何かが擦れるようなシャカシャカという音がする場合の対処例です. 異音の原因は,図のEリング(欠けたリングのようなパーツ)が付近のパーツと接触することのようです.このEリングが動かないようにすれば音は止まります.手っ取り早いのは,Eリングの下にある程度の厚さのプラスチック板や厚紙を挟むことです. ■モーターへの注油 フライホイールのシャフトのネジは時計回りに回せば緩みます.普通のネジと回す方向が逆ですので注意して下さい.注油を行う場合は下の画像を参考にして下さい: ■電解コンデンサの交換 FD1155Dにはフライホイール基板の異なるロットが幾つもあります: 図の左側の一番下とその上のように,電解コンデンサを持たないフライホイール基板のFD1155Dもありますが,多くのロット,特に製造年の古いものではこの基板上に表面実装型の電解コンデンサが取り付けられています.この電解コンデンサがしばしば液漏れを起こします.図は電解液が漏れ出した様子です.このように,電解液が漏れ出している場合には,付近の部品のハンダ部分の表面がくすんだ緑色あるいは白緑の粉を吹いたようになっているのが普通です: 電解液は導電性があり,また基板を腐食する性質を有しています.従って電解コンデンサが液漏れしている場合,早急に新しいものと交換し,また漏れ出した電解液を可能な限り除去する必要があります.なおコンデンサの液漏れは目視で検出できるとは限りませんし,また液漏れしている場合でも,FDDの動作に不具合が認められない場合もあります. 下図は電解コンデンサを交換した後の806-942443-GRP-0というロットのフライホイール基板の様子です: フライホイール基板上の表面実装型コンデンサは2個.元々実装されていたコンデンサは,下の大きなものが25V-22μFで,上の小さなものが25V-4.7μFでした. 22μFの方は撤去しても47μFにしても動作に変化ないようでしたので,動作安定用(貧血防止用)と思われます.一方4.7μFの方は,撤去するとモーターが轟音を立てながら高速で回転し,メディアにアクセスできなくなりましたので,回転制御用かと思います.これは同じ容量のものに交換すべきと思われます. 経年劣化によりパタンの基板表面への接着が弱くなっており,パタンが剥離しやすくなっています.また電解コンデンサ自体も,漏れ出した大量の電解液が固くこびりついているため,かなり外しづらくなっています. パタンを剥離した場合,剥離部分と導通があるパタンの絶縁表皮をカッターの先端などで削って電解コンデンサを取り付けることになりますが,22μFの方は足の直下のパタンがその左右のパタンを繋いでいるため,剥離した場合にはジャンパする必要があります. FDDの上の面にも基板(VFOを含む制御基板)があり,そこにもいくつか電解コンデンサが載っています.それらはすべてリード線が基板を貫通するタイプで,液漏れしていることはほとんどないように思いますが,経年劣化は進行していると考えるべきでしょう.この基板にも何種類かあるようですが,型番はすべて等しく(G8ZKP,P/N 134-836020),筆者が図の3種類の基板についてテストした限りでは,相互に交換装着してもFDDの動作に変化は認められませんでした. |