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総額7600円さんより投稿いただきました。これも何時もの様に7600円さんがHPを作られるまでの仮の置き場所として、場所だけ提供させていただきます。 7600円さんがHPを作られたあかつきには、ここはリンクのみになります。 |
FD1138Tの修理 3.5インチFDDとしてFD1138Tを内蔵したPC-98が出てから10年以上が経過しています.メディアが読めなくなっているケースも多いと思います. FD1138Tにおいて頻発する不具合の症状は以下の2つです. a. メディアを挿入するとガガガと異音を発し,メディアの読み書きができない. b. aのような異音は出ないものの,メディアにアクセスを繰り返しても読み書き不可. aは多くスピンドルの軸受けの潤滑の劣化に起因するもので,bはFDD内の基板上の電解コンデンサの劣化(液漏れ)によるものです.ここではそれぞれのケースにおける修理方法についてご紹介します.ただし,これらの方法によってFD1138Tが必ず復活するとは限りません.私はこれまでかなりの確率で蘇生に成功していますが,特にbのケースでは,漏れ出した電解液が基板を深く(広範囲に)汚染している場合にはうまく直らなかったこともあります.修理を試される場合には全て自己責任でお願いします. ■スピンドルの軸受けの修理 (1) まずはFDDのトップカバーを外します.トップカバーの左右の側面にツメのようなものがありますが,これをFDDの側面の長方形の穴に引っかけないように注意して外します.ツメが穴に引っかかってしまったら,FDDの前後の隙間から精密ドライバなどを差し入れて中からツメを押し出します. (2) フラップ(メディア挿入口の扉のようなもの)とイジェクトボタンを外します.フラップにはバネがついているので,飛ばさないように注意して下さい.またこのバネがFDDの筐体とフラップにどのようにかかっているか十分確認してから取り外すようにして下さい. (3) イジェクトボタンがはまっていた突起部(図の白丸)をイジェクトボタンを押す方向に少し押し込みます.机の縁などで押すとよいでしょう.そうするとFDD内部を覆っている金属板が浮き上がりますので,ヘッドに接触しないように注意して外します. この金属板を外すとヘッドが上下で接触しますので,ヘッドにはあまり良くないのかもしれません(これまで壊したことはありませんが).またこの金属板がレールと接触する部分にはグリスが塗られていますので注意して下さい. (4) 茶色の円形のターンテーブルが現れますので,2つある穴のうちの一方(図の白丸)から軸に向けて潤滑油をごく少量流し込みます.私は自動車のエンジンオイルを使っています. (5) (3)で外した金属板の横の突起(グリスが塗られています)をFDD内部のレールにはめ,図の赤丸の部分を軽く押し下げるとカチッと音がして金属板が元通りにはまります. (6) フラップ,イジェクトボタン,トップカバーを元に戻してしばらく放っておくと,底面の円盤が軽く回るようになるはずです. ■電解コンデンサの交換 (1) FDDのトップカバーを外すと,ヘッドの脇にフィルムケーブルが2本コネクタに刺さっているのがわかります.これを傷つけないようにラジオペンチなどで引き抜きます.どちらのケーブルがどちらのコネクタにはまっているのか控えておくとよいでしょう. (2) FDDの底面の2つの箇所(図)の半田付けされているコードをハンダゴテで外します.ハンダゴテは先端の細いものを使用します.作業中コードを浮き上がらせる場合には,精密ドライバなどの金属製の道具を使うと基板を傷つける恐れがありますので,私は爪楊枝の先端をカッターでくさび状に削ったものを使用しました. 図の左側の4本のコードは,途中が基板にテープで固定されていますので,予めこのテープを剥がしておきます. コードを外し終わったら,半田ブリッジなどがないかルーペで確認します.問題がなければ基板の方に予備半田をしておくとよいでしょう.またコードの先端が変形していればラジオペンチなどで整形しておきます.最後に基板を固定している2個のネジを外します. (3) 残ったフラットケーブルを傷めないように,厚手の本の上などに基板を裏返しに置きます.電解コンデンサが2個見えます.左が47μFで右が33μFです.これくらい液漏れしているなら被害は深刻と言わざるを得ません.この場合,ニッパで電解コンデンサの足を切り,換装した電解液をこすり取ってからハンダゴテで残った足を撤去すべきでしょう.私はカッターの刃先で電解液を削り取りますが,慣れないと力加減が難しいかもしれません.削られた粉は吹き飛ばして,その後アルコールで繰り返し拭き取ります.基板が綺麗になるまでこの作業を繰り返しますが,これくらい液漏れがひどいと基板にシミができています.私は最後に水を含ませたティッシュで基板を拭いています. 終わったらコンデンサを新しいものに付け替えます.なお,一方(多くは33μFの方)が液漏れしていない場合でも,2つとも交換した方がよいでしょう.交換用の電解コンデンサですが,大きさと取り付け位置に注意して下さい.特に47μFの方はサイズによってはスペースがシビアです.大きめのコンデンサを使用する場合にはドライブ番号切り替えジャンパの脇に寝かせるとよいと思いますが,その場合は基板をネジで再固定する際にネジを締めすぎるとコンデンサの腹を圧迫してしまいますのでご注意下さい.33μFの方は垂直に立てるとよいでしょう. (4) 元通り組み立てます.半田付けした部分はルーペで確認します.(1)で外したフラットケーブルをはめ直すのを忘れないようにして下さい. ケーブルを半田付けする場合には,ケーブルの先端を基板のパタン上にぴったり合わせてから(精密ドライバなどを使うとよいでしょう)ケーブルの先端にコテ先を当てます.割り箸などを使ってケーブルの先端を固定しておいて一気に作業するとよいでしょう. ほぼ同じ手順でFD1148TやFD1138Dのコンデンサの交換ができます.ただしFD1138Dの電解コンデンサは2つとも33μFです. |