マザーボード上の4級塩電解コンデンサの交換

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 総額7600円 さんに投稿いただきましたマザーボード上の4級塩電解コンデンサの交換の報告です。
 
 本来は総額7600円 さんHPを作ってそこで発表されるのがベストなのですが、まだHPを作る予定が無いとの事ですので、それまでの間、仮の置き場所として、場所だけ提供させていただきます。
 総額7600円 さんがHPを作られたあかつきには、ここはリンクのみになります。
 
記事をまとめるにあたり,情報をいただきましたAPさん,ぬけさん,tshさんに感謝いたします.

PC-9801FAあたりからPC-9821AnあたりまでのPC-98では,各種基板上に実装されている表面実装型の4級塩電解コンデンサが液漏れし,動作不良や故障の原因となっています.この液漏れはほぼ必発であり,現在問題なく動作しているように見える個体であっても電解コンデンサのチェックが必要です.この液漏れは必ずしも目視で検出できるとは限らず,液漏れしていないように見えても,無水エタノールをしみ込ませたティッシュペーパーでコンデンサの付近の基板を拭いてみると,ティッシュペーパーにくすんだ緑色の汚れ(一般的な埃の色とは明らかに異なる)がついてそれと気付かれるケースもあります.またコンデンサが派手に液漏れしている場合には,本体の電源ユニットからの排気に一種生臭いニオイが混じることもあります.
すでに研究発表会においてFD1138TやFD1158C・Dの制御基板上の電解コンデンサの貼り替えに関する記事を公開していますが,ここではマザーボード上のコンデンサを交換した事例について報告します.なお記事の参照は自己責任でお願いします.

APさんから以下のコメントをいただいております:
・交換する電解コンデンサは,元々使用されていたものの仕様に合わせるか,同等品以上のものを用いる.例えば10V-22μFのものを35V-22μFのものに替える場合,許容リップルが同等以上でればOK(耐圧が50V以上ではインピーダンスが変わる).
・やむを得ず容量の大きな電解コンデンサに交換する場合(例 15μF --> 22μF),インピーダンスがほぼ同等あるいは低いものであればOK.

■PC-9821Ap/U2の場合
このApの場合,ボリュームを最大に上げた場合にスピーカーの出力に弱いノイズが混入すること以外は,PC本体・FDDともに問題なく動作しているように見受けられたものの,基板上の電解コンデンサの多くは派手に液漏れしていました.
電解コンデンサは表面実装型のものと基板貫通型(通常の形状の,リード線が基板の裏面にまで達するタイプ)とがあります.

まず表面実装型のものだけを交換しました.
電解コンデンサを数個ずつ取り替えては仮組みして電源投入というのを繰り返して作業を進めました.このやり方だと,万が一起動しなくなった場合,どのコンデンサを交換したためであるかがわかりやすくなります.
元々の四角い電解コンデンサは胴体が基板に接着されていますので,予めラジオペンチで胴体部分を挟んで少し横にひねって基板から剥がしておきます(剥がれる時にパキッと音がします).
またはんだごてを十分に熱しておいてから作業する必要がありますが,電解コンデンサのリード線がはずれにくい場合にははんだを足してから外すようにします.焦って作業すると,不必要にパーツを焦がしたり基板上のパターンを剥がしてしまいやすくなります.
基板にこびりついた電解液等の汚れを基板や周囲のパーツを傷つけないようカッターの刃先で慎重に削り落とし,その後その部分と周囲を無水エタノールをしみ込ませたティッシュペーパーで拭くなどして漏れ出した電解液をできる限り取り除いてから新しいコンデンサを取り付けます.コンデンサのリード線は極力短くします.

交換対象の表面実装型電解コンデンサの位置と種類です:



交換後の様子です:



耐圧は元々使用されていたものと同じ,あるいは若干高いものを使用しました.50V-1.5μFのコンデンサは起動のタイミングを設定するためのものと推定されますが,これを2.2μFのものに交換したことによる起動障害は今のところ観察されていません.このコンデンサは他の機種でも同じ役目をしているものと思われます.
この作業によってはスピーカーからのノイズは消えませんでしたが,後日基板貫通型の電解コンデンサもすべて交換したところこのノイズは認められなくなりました.この基板貫通型コンデンサはCバススロットの下のG8MVTなるドータボード付近に多数実装されています(この付近は86互換音源領域).
作業を行って1年ほどになりますが,今のところコンデンサ交換に起因すると思われる不具合は出ていません.

■PC-9801BX2/U2の場合
この機種も動作には問題が認められませんでしたが,ほとんどすべての表面実装型電解コンデンサが液漏れしていましたので,交換を行いました.交換対象となった電解コンデンサの位置です:



白丸が通常のタイプ,赤丸と緑丸が表面実装型です(緑丸のものは50V-1.5μFのもの).15μFのものはすべて22μFにしました.
作業を行って数年になりますが,これまでのところこの作業によると思われる不具合は観察されていません.

■PC-9801FA/U2の場合
この機種も動作に障害は出ていませんでしたが,やはりほとんどすべての表面実装型電解コンデンサが液漏れしており,電解液が周囲の基板を汚損していました.電解コンデンサの位置です:



1.5μFのものは2.2μFのものに,また15μFのものは22μFのものに交換しました.作業を行ってまだ日が浅いのですが,これまでのところ不具合は出ておりません.

■PC-9801USの場合
この機種には以下の症状が出ていましたので電解コンデンサの交換に踏み切りました.
1)普段からプツプツ音がしている.
2)テキストなどをスクロールするとプププ・・・という音がする.
3)dir命令などで高速表示させるとピーと鳴る.多分2)のプププの間隔が短くなり,音が変わったように聞こえるのでしょう.
4)画面が切り替わる時(例:ファイル管理ソフトFD上からテキストファイルの中身を表示させたりする場合)にプッという音がする.
5)ボリュームを大きくするとこれらの音は大きくなり,ボリュームを絞ると聞こえなくなる.
5Vまたは35V-6.8μFというコンデンサがいくつも使用されていました.本来同じ容量以上のものと交換しなければならないのですが,これらはすべて4.7μFのものに交換しました.また2個あった16V-100μFの電解コンデンサは470μFのもに交換しました.
数年前にこの交換作業を行いましたが,これまでのところ不具合は出ておりません.また上記の1)〜5)の症状もすべて消失しました.

■PC-9821Ap2/U2の場合
tshさんによる,Ap2/As2のマザーボードに使用されている電解コンデンサのリストです.実際に交換作業もされています:
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(1) 交換対象となる電解コンデンサ
16V-4.7μF 8個
25V-4.7μF 11個
50V-4.7μF 3個
16V-10μF 5個
25V-10μF 2個
10V-15μF 10個 <-- ただの電力補助用なので22μFで代用可能
25V-22μF 2個
16V-47μF 10個
25V-33μF 2個
50V-1.5μF 1個 <-- おそらくリセット時定数用.
          1μFまたは2.2μFで代用できるらしい(未検証)

(2) ファイルスロットの下付近の,音源まわりと思われる電解コンデンサ
  (液漏れしにくい?)
25V-47μF 7個
25V-100μF 2個
16V-220μF 1個
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また,画面への出力がなく,スピーカーからの音にノイズが混入するAp2の表面実装型コンデンサをすべて交換したところ,症状が消失したという報告があります.

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