PC-586RXに5インチFDDを内蔵

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 総額7600円 さんに投稿いただきましたPC-586RXに5インチFDDを内蔵の報告です。
 
 本来は総額7600円 さんHPを作ってそこで発表されるのがベストなのですが、まだHPを作る予定が無いとの事ですので、それまでの間、仮の置き場所として、場所だけ提供させていただきます。
 総額7600円 さんがHPを作られたあかつきには、ここはリンクのみになります。
 
エプソン98互換機のうち,PC-486MU以降の機種は5インチベイを1基備えていますが,ここに増設する機器は,純正品・サードパーティー製品ともにCD-ROMのみが用意されていたようです.本稿ではこの5インチベイに5インチFDDを内蔵させ,2モード動作させる方法について述べます.
以下でご紹介する工作は総額7600円が実際に行って動作を確認したものですが,資料のご利用は自己責任でお願いします。

■VFOなし5インチFDDの内蔵
PC-586RXのFDDまわりについて調査し,
(a) 内蔵3.5インチFDDはVFOを内蔵していない
(b) マザーボード上のFDDケーブル接続用コネクタにはDS3信号とDS4信号が来ていないらしい
(c) 内蔵FDDケーブルにFDDを3台接続すると,2台目・3台目のFDDが正常に動作しない
(d) 結局,内蔵FDDケーブルにはVFOなしFDDを2台までしか接続できない
という結論に達しました.従ってこの節でご紹介する方法は内蔵3.5インチFDDが1台の場合にしか適用できません.すなわちVFOなし5インチFDDと共存させられる内蔵3.5インチFDDは1台のみです.
テストに使用した5インチFDDは,FD-55GFR,SD-680L,VFOを無効にしたFD1155Dです.

FDDケーブルを作成します.まず34本フラットケーブルの中程にマザーボードとの接続用コネクタ,一方の端に3.5インチFDD用コネクタ,他方の端に5インチFDD用のコネクタをそれぞれ圧着します.3つのコネクタでケーブルの1番ラインを合わせるようにします.元々内蔵されていたFDDケーブルを参考に,コネクタの向きを間違えないよう注意します.その後マザーボードとの接続用コネクタと5インチFDDコネクタの間のケーブルに以下の加工を施します.なおコネクタのピン番号の割り当ては,研究発表会の「コネクタの種類とピン番号」に示す通りとします.

(1) a),b)のいずれかを行います:
 a) FDDケーブルの10番ラインと12番ラインを入れ替え(交差させ),5インチFDDを DS = 1 に設定.
 b) 10番.12番ラインの入れ替えは行わず,5インチFDDを DS = 0 に設定.
(2) 27番ラインを切断し,切断後のラインが周囲とショートしないように処置.このラインはGNDではなく,切断しなければ正常動作しません.
(3) 7・9・11番ラインを切断し,切断後のラインが周囲とショートしないように処置.これらは電源ライン(+5V)であり,切断せずに接続した場合にはFDDが破壊され,FDDケーブルが燃えます.
(4) 1・2・3番ラインを切断し,切断後のラインが周囲とショートしないように処置.

これで5インチFDDが2HDモードで使用できるようになります.2番ラインはDensity信号ですが,筆者の環境ではこの信号が供給されていなくても,SD-680LとFD1155Dではシステム起動まで含めて2DDメディアの読み書きが一応可能でした.しかしDensity信号がきちんと供給されていないと2DDメディアの読み書きの安定性は期待できませんので,この状態で2DDメディアにアクセスすることは全くおすすめできません.
実は2番ラインを接続すると5インチFDDが正常動作しません.また外付けFDDのDensityピンに2番ラインを接続した場合,外付けFDDがやはり正常動作しません.わぴこのほーむぺーじ http://wapiko.ddo.jp/wapi/ --> [日記兼掲示板] --> PC-486なFDDのキケン究所 の資料によれば,2HD/2DDモードでのDensity信号の極性がPC-486MUとPC-9821V166とでは逆ということです.従って5インチFDDを2モードで動作させるためには,(4)で切断した2番ラインと(3)で切断した7・9・11番ラインに以下の加工を行います.

(5) 1台目のFDD側のラインをインバータICの入力ピンに,2台目のFDD側のラインを出力ピンに接続します.私はたまたま手元にあった74HC04Dを使用しましたが,74LS14などの方がよいかもしれません.
(6) (3)で切断した7・9・11番ラインのうち,1台目のFDDコネクタ側のラインのどれかをインバータICの電源ピンに接続します(ラインを3本とも接続してももちろん構いません).

■VFO内蔵5インチFDDの内蔵
3.5インチFDDを2台内蔵している場合(内蔵FDDケーブルに3.5インチFDDを2台接続している場合)には,内蔵FDDケーブルに5インチFDDを3台目のFDDとして接続使用することはできません.3.5インチFDDを2台内蔵した本体に5インチFDDを内蔵させるには,1MB FLOPPY DISKコネクタに出力されている信号をVFOを内蔵した5インチFDDに供給する必要があります.この場合,本体外部の1MB FLOPPY DISKコネクタに50ピンフルピッチオスコネクタのついたフラットケーブルを接続し,Cバススロットの隙間などからそのケーブルを本体内に引き入れるという方法があります.また本体内部にある1MB FLOPPY DISKコネクタのピンにフラットケーブルをハンダ付けして信号を引き出すという方法もあります.ここでは後者について述べます.

PC-586RXでは,1MB FLOPPY DISKコネクタの個々の信号ピンと導通のあるランドがマザーボード上に用意されており,ケーブルのハンダ付け作業が非常にやりやすくなっています.
それぞれのランドには3つのジャンパ用の穴があります.フロントパネル側の穴を1,リアパネル側の穴を3,中間の穴を2とすると,ランドF66以外は,1・3が 1MB FLOPPY DISKコネクタの特定のピンと導通あり,2がGNDと導通あり.ランドF66では穴3のみが信号ピンと導通あり(穴1にハンダを流し込めば穴3と繋がるかもしれませんが未確認です).
以下 1MB FLOPPY DISKコネクタのピン - 導通のあるランド名 の順です.NCは導通なしの意です.

 1 - F71 14 - F60
 2 - F70 15 - F59
 3 - F69 16 - F58
 4 - F68 17 - F57
 5 - F67 18 - NC
 6 - F66 19 - F56
 7 - F65 20 - NC
 8 - F64 21 - F55
 9 - F63 22 - NC
10 - F62 23 - F54
11 - F61 24 - F53
12 - F62 25 - F52
13 - F61


ジャンパ線が多数這い回っているためランド名が読み取りにくい場合がありますが,F67はF68とF59の間にあり,F58はF55とF71の間にあります.またF66の穴3にはすでに74LS486の13ピンへのジャンパ線がハンダ付けされています.

具体的な結線の仕方は,「VFO内蔵FDDの外付け化」の記事をご覧下さい.2DDメディアの読み書きを行えるようにするためには,3.5インチFDDケーブルからDensity信号ラインを分岐させ,インバーターICを挟んで5インチFDDのDensityピンに接続します.
下は5インチFDD(FD1155D)接続用のケーブル類を取り付けた様子です(Density信号は未結線).



GNDはPC全体で共通ですので,配線を簡単にするため,5インチFDDのGNDピンは1MB FLOPPY DISKコネクタのGNDピンでなく,電源コネクタのGNDピンと接続しました.ただし5インチFDDのGNDピンを1本だけ他のGNDピンと独立させて1MB FLOPPY DISKコネクタのTwo Side Diskピンに接続しました.これで5インチFDDコネクタを引き抜けば,外付けFDDを接続できるようになります.
使用した5インチFDDであるFD1155Dは,電気的には外付けFDDと全く同じですが,システムメニューのソフトディップスイッチ3での「内蔵FDDの動作モード」がデフォルトの「自動識別」のまま(640KB固定等ではありません)であっても,2DDメディアからのシステム起動が可能でした.
format /u では2DDメディアが選択できず,2HDメディアとして強制的にフォーマットされてしまいます.しかしMate-AのファイルスロットFDD用の fslot2dd.comを組み込むことにより,2DDメディアとしてフォーマットが可能となります.fslot2dd.comのドキュメントによれば,Mate-Aだと内蔵3.5インチFDDが1台の場合,ファイルスロット5インチFDDの2DDフォーマットにはfslot2dd.comを必要としないということですが,PC-586RXの場合には,内蔵3.5インチFDDが1台でも2台でも,外付けFDD扱いの5インチFDDの2DDフォーマットにはfslot2dd.comが必要でした.なおWindows95上でのフォーマットでは,2DDメディアが選択できました.
 
 

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