SCSI籠カードエッジ基板作成

PC-9801FAやmate-AのHDDスロットにSCSI HDDを内蔵させるのにいわゆるSCSI籠が用いられます.このSCSI籠の基板ですが,カードエッジを持つ単なる配線板です.そこで手持ちの製品で信号を調べてみました.対象は純正PC-9801FA-37(基板G8LDB)とPC-HD300F(同G8LFM,ファイルスロット籠),LogitecのLHD-S120HP,日本TEXAのTR-FA240です.
下はG8LDBの画像です.


純正品の基板のカードエッジコネクタの信号アサインです.カードエッジコネクタの番号は,正立方向の籠において内蔵HDDを左,基板を右に見た場合,上から順に1, 3, 5・・・・・55, 57, 59,また逆に見た場合上から2, 4, 6・・・・・56, 58, 60とします.

   1−GND    2−フラットケーブルSCSIコネクタ2ピン
   3−GND   4−SCSIコネクタ4ピン
   5−GND   6−SCSIコネクタ6ピン
   7−GND   8−SCSIコネクタ8ピン
   9−GND   10−SCSIコネクタ10ピン
  11−GND  12−SCSIコネクタ12ピン
  13−GND  14−SCSIコネクタ14ピン
  15−GND  16−SCSIコネクタ16ピン
  17−GND  18−SCSIコネクタ18ピン
  19−GND  20−SCSIコネクタ20ピン
  21−GND  22−SCSIコネクタ22ピン
  23−GND  24−SCSIコネクタ24ピン
  25−NC   26−SCSIコネクタ26ピン
  27−GND  28−SCSIコネクタ28ピン
  29−GND  30−SCSIコネクタ30ピン
  31−GND  32−SCSIコネクタ32ピン
  33−GND  34−SCSIコネクタ34ピン
  35−GND  36−SCSIコネクタ36ピン
  37−GND  38−SCSIコネクタ38ピン
  39−GND  40−SCSIコネクタ40ピン
  41−GND  42−SCSIコネクタ42ピン
  43−GND  44−SCSIコネクタ44ピン
  45−GND  46−SCSIコネクタ46ピン
  47−GND  48−SCSIコネクタ48ピン
  49−GND  50−SCSIコネクタ50ピン
  51−NC   52−LEDカソード
  53−+5V  54−+5V
  55−NC   56−NC
  57−+12V  58−+12V
  59−+12V  60−+12V

小高輝真 (1993). PC-9801FAに富士通M2624FA 520MバイトHDDを内蔵する 98パワーアップ改造名人 技術評論社 pp.169-175. によれば,49番コネクタの信号名はFLINOといい,これがGNDに接続されているとPC-9801FAの空冷ファンの風量が増加するということですが,このコネクタは純正品では上の通り最初からGNDに接続されています.
SCSIコネクタの奇数番ピンは,NCである23番ピンを除いた他のピンはすべてGNDに接続されています.
一方,サードパーティ製品ではコネクタのアサインが一部異なります.まずLHA-S120HPでは,23と49がNCとなっています.またTR-FA240では20, 22, 24, 28, 30, 34がGNDとなっています.上記の書籍の記事では,富士通M2624FAのSCSIコネクタの23, 24, 25, 27, 28がNC,1, 3, 5, 7, 9, 11, 13, 15, 17, 19, 20, 21, 22, 29, 30, 31, 33, 34, 35, 37, 39, 41, 43, 45, 47, 49がGNDとなっています.

この基板のカードエッジコネクタは,Cバスボードなどのものより金メッキ部の長さが短く幅が広くなっています(ただしLHA-S120HPでは,Cバスボードのコネクタと同じ幅となっています).しかしカードエッジコネクタの間隔はCバスボードのものと同じですので,不要なCバスボードからカードエッジ部を切り出して加工すればこの基板と機能的に同じ物が作れるはずと考え,実際に試作してみました.試作品ですので基板のネジ留めは考慮していませんし,半田づけした部分もむき出しのままとなっています.こんなのでもPC-9821Ap2+PC-9821A-E10+IBM DPES-31080で動作しました.なお画像中のオレンジ色のものは単なる線材です.


Cバスボードのカードエッジ部にはデザインが何種類かありますので,基板上のパターンを利用できるものを選ぶと作業が楽です.下の画像の上二つのカードエッジでは,エッジのパターンから信号が基板上に引き出されているためケーブルの半田付けが容易です.一番下のようなカードエッジはこの種の工作用としてはおすすめできません.


Cバスボードを使っての工作の際には,基板上のパターンカットや追加配線が必要となります.また電源やGNDはカードエッジの端から直接引いてくるとよいと思います.なおCバス籠のバックボード(Cバスボードを挿すコネクタのついた基板)のエッジも,カードエッジコネクタのパタンが全部揃っており,スルーホールもついています.

SCSI籠の基板はIDE籠の基板と交換しても使えることが知られています.純正品のPC-9801FA-35などでは,内蔵されているドライブのネジ穴が現行の規格のものと異なるため,ドライブの換装にあたっては基板をIDE籠に移植するということが行われていたようです.なお純正SCSI籠のままでも,2箇所だけならドライブをネジで固定できます.

SCSI籠を使用せずにSCSI HDDを内蔵させる方法は2つあります.
1つ目は,SC-98IIIP等のCバスSCSIボードに50ピンフラットケーブル接続用のコネクタを増設して利用する方法です.この場合HDDを設置する場所を工夫する必要があります.IDE籠があればそれを利用するのが簡単でしょう.この場合PC-9821A-E10などの専用SCSI I/Fは必要はありません.
2つ目はPC-9821As3,Ap3のファイルベイモデル限定となりますが,ファイルベイに装備されているのSCSIコネクタを利用するというものです.この場合は基本的にPC-9821A-E10などが必要となります.

A = ファルベイ用機器電源コネクタ
B = 5インチFDD電源コネクタ
C = ファルベイ機器用IDEケーブルコネクタ
D = FDD信号コネクタ
E = ファルベイ用機器SCSIケーブルコネクタ
F = オーディオケーブル用コネクタ

PC-9821Ap3/As3のガイドブックではコネクタBが描かれていますが,手持ちのAp3/C9WとAs3/C8Wではパターンのみでした。コネクタAでは+5V,+12V出力が通常のコネクタと逆になっています。この図では左のピンが+12V,右のピンが+5Vで,間の2本のピンはGNDです。