VFO内蔵FDDの外付け化 本資料をまとめるにあたり,aochanさんとぶぅぶぅさんのご協力を賜りました. ありがとうございました. 本稿の工作は総額7600円が実際に行って動作を確認したものですが,資料のご利用は 自己責任でお願いします. VFOを内蔵した3.5インチFDDにはFD1135D,FD1137D,FD1138Dなどが,また5インチFDには FD1155D,FD1157D,FD1158Dがあります.これらのいくつかはPC-98の内蔵FDDとして採用 されていました. PC-98用の外付けFDDは,ジャンク屋の店頭で見かけることも稀になり,またインターネット オークションでの落札価格もかなり高くなっているなど,入手が容易でなくなってしまって います.ここでは上記のVFOを内蔵したFDDをPC-98用の外付け2モードFDDとして使用する ための方法について説明します. FD1135D,FD1137D,FD1138D,FD1155D,FD1157D,FD1158Dの信号コネクタはいずれも 34ピンで,ピンアサインは同一です. ■外付けケース 3.5インチFDDなら,SCSI接続の外付けMOやZIPのケースが流用できます.代表的な3.5インチ FDDであるFD1137Dの消費電力は+5V,2.5Wであり,これらの機器に内蔵されている電源 ユニット,あるいは付属のACアダプタの供給電力の点でも問題ありません.外付け機器用の 50ピンコネクタのSCSIケーブルはストレート結線であり,外付けFDDケーブルとしても 使用できるため,ケースのコネクタはフルピッチのものでもハーフピッチのものでも かまいません.コネクタが25ピンのものや37ピンのものも使用することは可能ですが, 多くの場合接続ケーブルも作成する必要があるでしょうから,新たに入手してまで使用 するのは避けた方がよいでしょう. 5インチFDDでは,SCSI接続の外付けCD-ROMやCD-Rのケースが利用できます.代表的な 5インチFDDであるFD1155Dの消費電力は,+12Vが3W,+5Vが2Wですので,電源容量の点でも 問題はないでしょう. ただしいずれの場合も,フロントベゼルのないドライブが使用されている製品のケース を流用したり,フロントベゼルがないFDDを使用した場合には,完成品の見ばえは 良くありません.外付けFDDの自作は,見ばえ・工作の手間と実用性を天秤に掛けて 判断して下さい. ■結線 一般的な1MB FDD I/Fの外部50ピンコネクタに接続する場合の信号線の結線の仕方です. この結線で2HD(1.2MB)メディアの読み書きが可能となります. 以下,1MB FDD I/Fの外部50ピンコネクタのピン - FDDのピン の順です.カッコ内は 信号名です.コネクタのピン番号の割り当ては,研究発表会の「コネクタの種類とピン 番号」に示す通りとします.またFDDのピンアサインは, HAMLIN's PAGE:http://members.ld.infoseek.co.jp/hamlin/ --> FDDD関係 --> PC-9821-K08ケーブルとその接続 に記載されているFD1158Dのものに 従っています.なお外付けケースのコネクタのピンアサインは,1MB FDD I/Fのものを 左右反転した形になりますので,結線時にはご注意下さい. ------------------------------------------------------------------------------- 1 (Window) - 3 (Window) 26 (GND) - 33 (GND) 2 (MFM/FM) - 7 (MFM/FM) 27 (GND) - 31 (GND) 3 (Read Data) - 30 (Read Data) 28 (GND) - 29 (GND) 4 (Write Protect) - 28 (Write Enable) 29 (GND) - 27 (GND) 5 (Track 00) - 26 (Track 00) 30 (GND) - 25 (GND) 6 (Write Gate) - 24 (Write Gate) 31 (GND) - 23 (GND) 7 (Write Data) - 22 (Write Data) 32 (GND) - 21 (GND) 8 (Step Pulse) - 20 (Step Pulse) 33 (GND) - 19 (GND) 9 (Direction) - 18 (Direction) 34 (GND) - 17 (Drive Selected) 10 (Drv Sel 3) - 6 (Drv Sel 3) 35 (GND) - 15 (GND) 11 (Drv Sel 2) - 14 (Drv Sel 2) 36 (GND) - 13 (GND) 12 (Drv Sel 1) - 12 (Drv Sel 1) 37 (GND) 13 (Drv Sel 0) - 10 (Drv Sel 0) 38 (GND) - 9 (GND 14 (Sync) - 11 (Sync) 39 (GND) - 16 (Motor On) 15 (Ready) - 34 (Ready) 40 (GND) - 5 (GND) 16 (Index Out) - 8 (Index Out) 41 (GND) 17 (Head Load) - 4 (Head Load) 42 (GND) 18 (NC) 43 (GND) 19 (Side Select) - 32 (Side Select) 44 (GND) 20 (NC) 45 (GND) 21 (Two Side Disk) - 1 (GND) 46 (GND) 22 (NC) 47 (GND) 23 (File Unsafe) 48 (GND) 24 (File Unsafe Reset) 49 (GND) 25 (Low Write Current) 50 (GND) ------------------------------------------------------------------------------- 1MB FDD I/Fの21ピン (Two Side Disk) ,またFDDの16ピン (Motor On) と17ピン (Drive Selected) をそれぞれGNDに接続するのがポイントです. 1MB FDD I/Fの外部50ピンコネクタでは26-50ピンが,またFDDの34ピンコネクタでは1,5, 9,13,15,19,21,23,25,27,29,31,33ピンがそれぞれGNDです.上の表でのGND同士の結線の 仕方は一例です. メーカー不明の PC Line Max II 3.5 INCH 2DD /HD FDD という外付け3.5インチFDD (FD1137D使用)と IDOL JAPANのFD-501という外付け5インチFDD(FD1157D使用)も 基本的にこれと同じ結線となっています. なお,FDDが1台の場合はDSを0に,また2台の場合は1台目のDSを0,2台目のDSを1に それぞれ設定します. 50ピン以外のコネクタを介して接続する場合(この場合は接続ケーブルも作成する必要が あります)には,1MB FDD I/FあるいはPC本体内部のFDDコネクタの信号と外付けFDDの 信号とを対応させ,またTwo Side Disk・Motor On・Drive Selectedの各信号をGNDに 接続します. ■2モード化 FDDの2ピンはDensity信号ピンであり,ここにPC本体側のDensity信号を接続すれば, 2HD/2DD自動切り替えの2モードFDDとすることができます.1MB FDD I/Fの外部50ピン コネクタにはDensity信号が出力されていませんので,内蔵FDDケーブルから分岐させて 外部に引き出す必要があります.FD1138Tでは11ピン,FD1231Tでは2ピンがそれぞれ Density信号ピンです. α DATAのADF-1MやIDOL JAPANのFDD-1Mなどの1MB FDD I/Fでは,外部50ピンコネクタの 脇のミニジャックにDensity信号が引き出されており(Density信号はミニプラグの先端部 で受けます),同じくミニジャックを持つ外付けFDD(ミニジャックはケース内部でFDDの Density端子に接続されています)とオーディオ用モノラルミニプラグ付ケーブルと同等の ケーブルで接続するようになっています.このようにDensity信号ラインを他の信号ライン と別に引き出すこともできますが,1MB FDD I/FのNCピンを利用して引き出すこともできます. ただしこの工作では,2DDメディアからのシステムブートはできません. 2DDメディアからシステムを立ち上げるには,本体の拡張スロットにACCELのAPC-035など の640KB-1.2MBハードウェア切換ボードを装着し,本体のシステムセットアップメニュー で内蔵FDDの動作モードを640KF固定または自動(640K)に設定する必要があります.この 場合,外付けFDDのDensity端子は,640KB-1.2MBハードウェア切換ボードのミニジャック か,内蔵FDDのDensity端子と接続します.