FD1158C・Dの電解コンデンサ交換


FD1158C・Dの故障には大きく二つのタイプがあるようです.
一つはイジェクトボタンに繋がる金具の変形ならびにこの金具に接続されている巻きばねの破断です.前者はメディアが挿入されていない状態でイジェクトボタンが強く押されると間単に生じるといいます.



全体的に華奢な造りで,金具も薄いものが使われており,壊れやすい構造になっていることがわかります.このタイプの故障である場合,修理は困難でしょう.
もう一つは電解コンデンサの劣化によるメディアの読み書きの障害です.ここではこのタイプの故障への対応(電解コンデンサの交換)について述べます.

手順は以下の通りです.研究発表会のFD1138Tの修理の記事もご参照下さい.なお現在不具合が認められなくても,コンデンサ交換作業は行っておいた方がよいと考えますが,作業はすべて自己責任でお願いします.

(1) まずFDDの後ろ半分を覆っている蓋状の薄いアルミ板を外します.このアルミ板は,FDDのコネクタ側が2箇所ネジ留めされ,メディア挿入口側の突起がFD本体のツメに引っかけられています.なおPC-FD511Fに使用されているFD1158Dなどにはこのアルミ板はついていません.
(2) 次いで下図の矢印の先のケーブル類をラジオペンチなどで外します.上の3つはFDDの右側に,下の1つは左側にあります.下のフィルムケーブルは2本あります.



(3) FDDを裏返しにして基板を留めている3つのネジを外し,基板を厚手の本の上などに裏返しに置きます.
(4) 右の図の4つの黒い電解コンデンサを外します.上から順に,10V 10μF,6.3V 47μF,16V 22μF,16V 22μFとなっていました.液漏れしていればしかるべき処置(略)を行いますが,目視で液漏れの痕跡が認められなくても,無水アルコールを用いての電解コンデンサ付近の基板の洗浄を行う方がよいでしょう.なお10V 10μFのものはFD1158Dにはありましたが,FD1158Cにはありませんでした.



(5) 電解コンデンサを新しいものに交換します.上の図を参照.今回は耐圧が16V以上のものを使いました.極性と倒す方向に注意します.倒す方向が悪いと,基板を戻した時にFDDの金属部分と干渉します.
(6) 基板を戻し,ケーブルをはめ直して,蓋状のアルミ板も取り付け直して動作を確認します.


※tshさんより情報をいただきました.
・ロットによっては制御基板のパターンが異なり,使用されている電解コンデンサが違うことがある.具体的には,右下の空きパターンの部分に表面実装型の電解コンデンサが取り付けられていたものがあった.
・FD1158Dでは,10V 10μFの電解コンデンサ(VFO関係で実装されているらしい)のある場所は方向によらず余裕がなく,千石で売っている小型品の16V 10μFの電解コンデンサがギリギリ取り付けられるかどうかであった.他の場所でも余裕があるとは言いがたいのは事実で,いずれも耐圧が2ランク大きくなると取り付けられない可能性がある.
・電解コンデンサの交換作業をする場合には,スピンモーター(フライホイール)へのケーブルを一度はずしたほうが作業がしやすいかもしれない.
・FD1158C/Dが壊れやすいといわれた原因の一つは,メディアの挿入・イジェクトを1つの巻きバネで行っていることにあるようである.当該する巻きバネは,イジェクトレバーからまっすぐにたどったところにあるもので,このバネが破断するとメディアの挿入・ヘッドロード・イジェクトのすべてに影響が出る.